編集部ブログ

医学

2020.12.25

医療崩壊の危機に直面して、望む抜本的な医療制度改革

ニュースで必死に働いている医療関係者の姿を見ると胸が痛みます。しかし、待てよ、と。全国の感染者数や重症者数が最多を更新していますが、それでも、その数は世界と比べればケタ違いに少ないわけです。なのに、なぜ日本の医療現場は崩壊の危機に直面しているのでしょうか? コロナウイルス感染症のレベル指定が間違っているとか、云々言われています。そもそも、コロナ前でも、病院は満床で、患者さんは空きを待っている、または、満床にして回さないと病院は利益が出ないとも言われていました。日本の医療体制には、抜本的問題があるというか、システムエラーがあるとしか思えません。これを機会に、日本の医療制度は、大きな改善が必要ではないかと感じています。この難局に皆が真面目に努力していることが、明日の大きな改善につながるよう願います。

2020.11.19

米グーグル、日本向けにAI活用コロナ感染予想公開

 米グーグルが、日本向けに人工知能(AI)を活用した新型コロナウイルス感染者の予測情報の提供を始めました。陽性者数、入院患者数などを都道府県ごとに示したサイトは一般に公開され、医療機関や行政機関に役立ててもらう目的とのことです。日本全体の今月15日~12月12日の陽性者数予想は5万3321人。これまでの感染者数が12万3544人(11月18日深夜までNHKまとめ)ですから、かなりの大幅アップです。今日、東京都の感染者数は、初の500人超えになりました。

2020.11.19

脊髄損傷に再生治療(最新医療5)

これまで事故やスポーツなどで脊髄を損傷すると、神経の機能を回復させるのは難しいとされ、手術やリハビリ以外に有効な治療法がありませんでした。脊髄損傷は国内では年間5千人が新たになり、患者は10万人いるとされています。脊髄損傷は治らないとされてきましたが、この状況が大きく変わるかもしれません。札幌医科大学が開発を主導した、再生医療製品「ステミラック注」が、厚生労働省に承認されました。治療方法は骨髄液を採取、「間葉系幹細胞」を培養して、点滴します。これによってベッドで寝たきり状態だった患者が自立して歩行する例がテレビで紹介されました。「ステミラック注」は、通常の保険診療の対象となり、高額療養費制度を受けることができます。治療を希望される場合、適格基準がありますのが、患者にとって画期的な治療法になる可能性があります。脊髄損傷の他、脳梗塞の治験も始まっています。これまで不可能だった病気に対して新たな治療が次々と研究されています。

2020.11.12

AIを活用した画像診断(最新医療4)

 AI(人工知能)を医療に生かす試みが急速に進んでいます。予防、診断、治療の様々な分野でAIの活用が期待されていますが、実用化にもっとも近いと言われるのが、画像診断の分野です。数年内には画像診断医よりもAIのほうが高精度で診断可能になるとさえ言われています。国内ではオリンパス社が内視鏡画像用のソフト「EndoBRAINR(エンドブレイン)」を発売しています。このソフトは内視鏡分野において国内で初めて薬事承認を取得したAI製品です。検査中にリアルタイムで「腫瘍性ポリープ」、または「非腫瘍性ポリープ」の可能性を数値として出し、医師の診断をサポートします。

その他に、エルピクセル社はMRA画像データからAIが動脈瘤を見つけるAI診断ソフトを発売しました。脳動脈瘤を見つける割合は医師より高いとされています。全ての診断をAIに任せるのではなく、経験のある医師の目と見落としが少ないAIが協力して診断していくことで、質が高い医療を提供できるようになると考えられています。今後はさらに肺、肝臓、乳房のがんなどを対象にしたAI診断ソフトの開発が期待されています。

2020.11.05

がん・生殖医療(最新医療3)

「がんを克服して子供を持ちたい」。男女を問わず若くしてがんにかかっても子供を持ちたいと考える患者が多くいます。40歳までにがんにかかる人は年間約2万人です。しかし、抗がん剤治療や放射線治療の副作用で不妊になるおそれがあります。こうした妊孕性(妊娠可能性)の温存を考える若い世代(思春期・若年世代)のがん患者に対して、精子や卵子を凍結保存する方法があります。凍結保存によって将来に子供が持てる可能性を残せます。これまで全額自費のため、高額な費用がネックとなっていました。厚労省によれば経済的支援があれば年間7000人が凍結を希望するという試算があります。政府は現在、不妊治療について保険拡大の方針を示していますが、凍結保存についても何らかの支援が必要という意見が出ています。がん・生殖医療は若い世代のがん患者にとって希望が持てる医療技術といえるでしょう。『国民のための名医ランキング』では、がん・生殖医療の中心的な役割を担う医師を掲載しています。ぜひ、参考にされてください。

2020.10.29

がんゲノム医療(最新医療2)

 がんゲノム医療に注目が集まっています。がんゲノム医療は、がんの原因となる遺伝子の異常を調べて「がんの性格」を知ることがまずは第一段階です。その遺伝子異常に対して「どういう治療(薬)が良いか」を提案していきます。これまでの薬物治療は臓器別に行ってきました。肺がんには肺がんの薬という具合です。しかし、がんの原因になっている遺伝子を調べると、肺がんの治療薬が実は乳がんにも使えるという可能性が出てきました。臓器ではなく、遺伝子をターゲットにするという考えです。現在、がんゲノム医療は標準治療がない、または終了したなどの条件を満たす場合に行われています。今後はがんの初期段階、また未発症の段階での発がんリスク検査への適応が期待されます。世界的な遺伝子のデータベース化によって、より精度の高いゲノム医療が実施される日も近いということです。『国民のための名医ランキング2021-2023』では、がんゲノム医療について、慶應大学病院の西原広史教授にインタビューして分かりやすく解説をしてもらいました。今後注目される画期的な治療法です。

2020.10.23

未知の臓器発見『第四の唾液線』

がん細胞の研究中に偶然に発見!最新の映像化技術で頭部をスキャンした結果、これまでの技術では認識不可能であった新たな「唾液腺」が発見されたとのことです。MRIやCTで、体のすみずみまで分かるようになった気になっていましたが、まだまだ人体は未知の領域だったのですね。発見された臓器は3.9㎝、結構大きく、頭部で新発見というのが驚きです。人体には舌下・喉・耳の下側の3カ所に唾液腺がありますが、新たに発見された唾液腺は、鼻腔と喉の接合部分にあり唾液を分泌し、喉や口を潤しのみこみをスムーズに行なう機能があるようです。

2020.10.08

ホウ素中性子捕捉療法(最新医療1)

2020年6月から「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部がん」について、「ホウ素中性子捕捉療法」の保険診療が開始されました。ホウ素中性子捕捉療法は、がん細胞に選択的に取り込まれたホウ素が中性子を捕捉することにより引き起こされる核分裂反応を利用する治療法です。正常細胞にほとんど損傷を与えず、がん細胞を選択的に破壊することができます。得意な症例は、皮膚から浅い部位にある、手術でがんを取り切ったとしてもがんが周囲の正常組織に浸潤しており、再発を起こしやすい腫瘍です。具体的には悪性脳腫瘍や、周囲に浸潤しやすい種類の頭頸部腫瘍です。再発悪性脳腫瘍については、まだ治験段階ですが、近い将来診療可能となると期待されています。『国民のための名医ランキング2021-2023』では、ホウ素中性子捕捉療法について、京都大学複合原子力科学研究所の鈴木実教授にインタビューして分かりやすく解説をしてもらいました。今後注目される画期的な治療法です。

2020.10.02

日本で世界初、がん光免疫療法承認、新時代到来

がん光免疫療法の新薬アキャルックスが、厚生労働省から製造販売承認を取得したと楽天メディカルが発表しました。いよいよがん治療新時代が始まった!と心躍る気持ちです。治療効果が高く、正常な組織にはほとんど影響がないという『がん光免疫療法』は、患者さんにとって大きな奇跡的朗報です。この治療法の発案者は小林久隆先生、長年アメリカ国立衛生研究所で研究されている日本人です。

楽天メディカルジャパンが開発した同薬は、2019年に先駆け審査指定制度対象品目の指定を受け、2020年3月に条件付き早期承認制度の下で承認申請されていました。異例とも言える速さで、このほど世界で初めて承認されました。この治療法の特徴は、体内の免疫機能である抗原抗体反応を、光を当てることで患部でのみ限定的に行い、非常に効率的にがん殺傷ができることです。さらに、殺傷して細かくなったがん細胞を、免疫細胞が取り込み、がんの情報をゲットした免疫細胞によるがん攻撃力もアップするという多角的な治療法です。今回の承認は頭頚部がんですが、将来的にはがんの8割~9割のがんに有効との予測で、がんが痛みを伴わず治せる時代に手が届きそうです。

2020.09.18

健康な100歳をめざして

 厚生労働省が、「全国の100歳以上の高齢者は過去最多の8万450人となり、初めて8万人を超えた」と発表しました。100歳以上の高齢者は、調査開始時の1963年に153人。1981年に1000人超え、1998年に1万人を超えました。すごい伸び率です。ただ、健康な100歳の方ばかりでなく、認知症など介護が必要な人口が増えて早急の対策が必要とされています。日本赤十字社医療センター初のオリジナル書籍『健康な100歳をめざして―予防と治療法を現役医師が解説!』では、健!康!な!100歳を迎えるために、健康長寿を延ばすためのポイントを網羅しています。

2020.07.12

前向き思考でアレルギー改善

 産経新聞の記事で、前向き思考でアレルギー症状が改善したというニュースを読みました。前向きな気持ちが花粉症などのアレルギー症状を改善させるという研究結果を山梨大の中尾篤人教授(免疫学)らの研究グループが発表し、欧州アレルギー学会誌「アレルギー」のオンライン版に掲載されたということです。「病は気から」というのは、経験的に実感しますし、また東洋医学的には古くからいわれています。

2020.06.19

新型コロナ対策「集団免疫作戦」のスウェーデンに異変

 スウェーデンは、国民に大規模な外出自粛を求めず、徐々に集団免疫を獲得するという方針を取ってきました。6月に入り、感染者の比率は他の北欧諸国に比べはるかに高く、死亡率は世界最悪の部類に入るとのニュースが報じられました。各国で、國土の広さや人口密度、年齢層、医療状況など違い、一律にこの方法が適していると言えませんが、スウェーデンが新型コロナウイルス対策に成功すれば、経済的ダメージを最小限にして人命も守るというモデルケースになったはずです。しかし、どの時点なら各国の対策に評価を下せるのか、難しいところです。

2020.05.15

なぜ医療崩壊寸前? 必須「優秀なかかりつけ医」

緊急事態宣言発令前より、ずっと「医療崩壊寸前」が懸念されています。なぜ医療崩壊寸前(すでに医療崩壊している病院も?)なのでしょうか? なぜなら、そもそも普段から医療現場は、パツパツの状態で余力がないのです。普段でも、病院では予約しても長時間待たされ、医療フタッフにも余裕のなさを感じることが多くあります。そんなところへ、感染症流行という負荷がかかればひとたまりもありません。つまり、医療現場が通常の診療に余力のある状態にならなければ、いざという時すぐにパンクする可能性があるというわけです。

その解決策の一つに、「かかりつけ医」「総合診断医」の充実があります。医療改革は、実は古くて新しい課題です。総合診療パイオニアで、日本の医療システム改革の担い手の1人である竹村洋典Dr(現・東京医科歯科大学総合診療科教授)をインタビューした『救いの総合診療医―新・総合診療専門医が日本の医療を変える! 』では、この問題を取り上げています。竹村洋典Drは、「優れたドクターG(総合診療医)に近隣で、いつでも受診できる、個人的な事情にも配慮してくれる、そして、何より的確に病気を診断し、必要な場合は適切な基幹病院を探し、原因探しの毎日から救ってくれる、そんな未来がやってくる」そんな夢に向かって、猛ダッシュしているドクターです。