編集部ブログ

2020.05.02

森上逍遥先生最新刊『タオと宇宙原理』公開します!

森上逍遥先生御執筆中の最新刊は『タオと宇宙原理』。

道(タオ)は、無形にして天地を育成し、無情にして日月を運行し、無名にして万物を長養する、と老子は説かれています。森神逍遥先生は、本書の中でタオを「大自然の慈愛」とも書かれています。仏教をはじめとする東洋哲学に精通する著者が、その智慧を以て、最新の宇宙物理学を読み解きます。

近日刊行予定の本書の「序章」の一部を、特別に限定公開します!(お名前が、森神から森上に変わりました。)

◆序章 ― この世は存在しない!

 プログラムされた人類

 この世とはどんな世界なのだろうか。目に映った世界がこの世だと、誰しもが信じて疑わない。本当だろうか。若い時には、日常に心が奪われ、日々の出来事に振り回される日々で、この世の存在と自分の存在との関係について考える、などということは、大半の人はすることがない。ところが、誰しも年を取ると、自分の意識と自分の身体とが別物であることを痛感させられるようになる。身体が思うように機能しなくなるからだ。若い読者は、この言葉を決して看過してはいけない。アッという間に「その時」は訪れるからだ。その時に、これから語る多くのことが、あなたを支えることになるだろう。

 あなたは「何故ここに自分が存在しているか」考えたことがあるだろうか。あなたがあなたでしかないことに疑問を持ったことはないだろうか。筆者にとってそれは最大の難問だった。何故、自分は自分なのか。他者ではないのか―。巨大な問だった。あなたもあなたを演じているだけの「あなた」という人生の主役でしかない。あなたにとってはあなたの、筆者にとっては筆者の人生しか我々は生きることが出来ない。そして、その中心は常に「自分」である。

 あなたは、その「自分」について真剣に考えたことがあるだろうか。筆者はこの自他の別に小学四年生の時からずっと悩むようになり、自然の営みを見つめながら人間という存在のあり様を思惟する道を歩むようになった。一人一人の生を観察していると、我々は一種のロボットの様に思えてくる。誰しもに両親がいて、育てられる過程で同様の喜怒哀楽に襲われながら、知恵を付けていく。そして十歳で脳の大半が完成すると、二年後には思春期へと突入する。誰しもが同じパターンである。

 人の生は、幼児の時の自己中心的な〈第一自我〉に始まり、五、六歳からの他者と敵対する〈第二自我〉、そして、思春期の渾沌とした〈第三自我〉。次に、青年期の衝き進む〈第四自我〉へと移行し、社会人や家庭人としての〈第五自我〉に入ると、自立、自活、愛情という、社会に目を向けた世界で心身を削りながら生き始める。そして、いよいよ更年期の〈第六自我〉に入る、身体に不調が出始める時だ。それに伴い、心までもが不安定になる。多くの中年自殺者を出すのもこの時である。家族との葛藤も大きく心身を傷付けていくことになる。更に還暦を過ぎれば身体はいよいよ言うことをきかなくなる。

 そして遂に、老人の境へと到る時が来る。〈第七自我〉の訪れである。人生の黄昏に突入する。一年一年が若い時の十年の速さで心身を老化させていく。それからは老い仕度が始まることになる。一日一日に感謝をする日々でもある。人によっては寝たきりとなり、苦難の時が訪れる。子に支えられる時でもある。そして「死」が迎えに来る。その時、〈第八自我〉が出現する。

 こうやって人を分析すると、多少の違いがあるとは言え、この枠から外れている者がいないことが分かる。人は皆同じプログラムの中で生を全うするロボット的存在でしかない。いかにも人間的な男女の恋愛も全ての生物にプログラムされた繁殖行動でしかないことが分かる。下等生物より少しだけ複雑な心理状態を形成発展はさせるが、基本のプログラムから外れることはない。我々はロボットなのだろうか。

 いずれ人類は、火星に生命を誕生させる「地球化計画」を開始する。更に、より早く人類(火星人)が誕生するようにあらゆる技術を駆使して発生を早めさせるだろう。その時、新たな生命に遺伝子を植え付けるのはこの我々人類の子孫の未来人である。そして、その中から新たな人類(宇宙人)を創り出す時が来ることは、決してSFの世界ではない。

 果たして、その新たな人類は誰によって創り出されたのであろうか。彼らは、自我を形成させた時、その自分たちの創造主が隣の星の人類だと知った時の驚きはいか程であるか想像に難くない。

 さて、かくいう我々の存在も、この巧みなプログラムから外れることはない。我々は一見他者との個人差を感じ〈自分の世界〉で生きているように感じているが、それはただの錯覚でしかない。あなたのその個人的生は他者の個人的生と本質的に何も違わない。あなたも他者も所詮は一つ穴のムジナでしかないのだ。

 1953年にワトソンとクリックがDNAの二重螺旋構造を提唱した時の人類の衝撃は大きかった。その瞬間、我々人間が設計図に基づいて作られているロボットであることが示唆されたからである。

あなたは誰だろうか?