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日本を心から愛していた父との別れ

戦後、私の末の妹は大陸の人間と恋愛して結婚しました。相手は孟という苗字の人でした。相手の中国人というのは、妹に惚れてあの手この手を使って一生懸命追いかけたらしいのです。

その時、私は既に結婚していましたから、妹がそういう人とお付き合いしているのを知りませんでした。彼は船乗りの通信部の主任をやっていたようです。 その彼のお父さんというのは、南京の人間で飛行士だったそうです。家庭は比較的良かったようですが、父にしてみれば、家庭が良かろうが悪かろうが、しょせん中国人は中国人だと思っていたようです。ですから、父は怒ってしまって、その男性が家に挨拶に来た時にも返事すらせず、顔も会わせませんでした。

そんな父が、ある日ひょっこり台北の私たちの家を訪ねて来ました。そして、「これからね、お前と一緒に住むよ」と言うのです。

突然のことだったので、私が「どうしたの父ちゃん?」と聞いたら、「お腹が痛い」と言うのです。私はすぐに台大病院に連れて行きました。主人の兄がそこで診断課の主任をやっていたのです。

父の診断の結果は、あと四カ月の寿命しかないということでした。それから私は一生懸命尽くしました。

そして父が亡くなる時に、「お前はね、あの中国人の孟という人とだけは付き合うなよ」と言いました。だから、私は今もお付き合いをしていません。生きている人間との約束だったら反古にしてもなんとか説明出来ますが、死んだ父との約束は反古に出来ませんから。 大好きだった父、日本を心から愛していた父が亡くなり、日本時代の父との数々の想い出が次から次へと浮かんでは消えていきました。

あれは確か私が国民学校の四年生の頃だったでしょうか。突然父が私に次のようなことを話しだしました。

「人間は生まれる前に、神様からコップ二つを飲み物でいっぱいにしたものを頂くんだよ。一杯は甘い飲み物、もう一杯は苦い飲み物だけど、お前だったらどっちを先に飲む?」と。

私がその時考えたのは、もし私が年を取ってから苦いものを飲まなければいけなくなったら、それはきっと飲みきれないだろうなということでした。だから、父に「私は苦いものから先に飲む」と言いました。

父が「どうして?」と聞くので、「だって若い時に苦いものを飲んでしまえば、年を取ってヨボヨボになっても甘いものが飲めるでしょ」と答えたのです。

そうしたら父はビックリして、「お前が男だったら僕はもう心配ないんだけどなー」と言っていました。

私は、何気なしにそう言ったのですが、父は「お前が男だったら自分の後を継がせるのだけどなあ」と思ったのだと思います。

それにしても、時間というものは素晴らしいものですね。過去を癒して苦いものが甘くなるのですから。


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