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自分自身を愛するように、隣人を愛しなさい
 さて、ユダヤ教の教えの中に、異教徒やキリスト教徒といった非ユダヤ人の存在を認め、また彼らと距離を置くということがあります。

 聖書の中に異教徒の預言者であるバラムの話があります。彼はユダヤの人々を呪おうとしたのですが、神によってそれは祝福になってしまったというのです。
(「民数記」第二十二〜二十四章に、イスラエルの民が約束の地カナンに入る以前、モアブの王バラクはイスラエルに恐れを抱き、異教徒の預言者バラムを招いてこれを呪わせようとした、とある)
 聖書の中で、バラムの託宣は次の通りでした。

 バラクはアラムから
 モアブの王は東の山々からわたしを連れて来た。
 「来て、わたしのためにヤコブを呪え。
 来て、イスラエルをののしれ」
 神が呪いをかけぬものに
 どうしてわたしが呪いをかけられよう。
 主がののしらぬものを
 どうしてわたしがののしれよう。
 わたしは岩山の頂から彼らを見
 丘の上から彼らを見渡す。
 見よ、これは独り離れて住む民
 自分を諸国の民のうちに数えない。
 誰がヤコブの砂粒を数えられようか。
 誰がイスラエルの無数の民を数えられようか。
 わたしは正しい人が死ぬように死に
 わたしの終わりは彼らと同じようでありたい    (「民数記」第二十三章七〜十節)

 この中で、「これは独り離れて住む民」とあるように、古代において、イスラエルの人々は他の多くの民族とは違った道徳や崇拝の対象を持ち、容易に彼らと混ざり合うことはありませんでした。
 そしてユダヤ人はその歴史の中で、多くの場合少数派であり強い力を持ちませんでした。
 他の人々のあまり当てにならない情けと寛容の中で、ユダヤ人は非ユダヤ人との関係において、用心深く、そして疑い深くなっていきました。その一方で、非ユダヤ人の権力に従い、常に自分達が生き残るための手段を学んでいかなければなりませんでした。

 このような中で、ユダヤ人と非ユダヤ人との間には、ある種の緊張関係が生じていきました。その結果、非ユダヤ人はユダヤ人が自分達に疑いをもっていると時に感じ、そのために、非ユダヤ人がユダヤ人に対して危害を加えるということになっていったのかもしれません。
 ユダヤ人はこのようなことも経験してきましたが、ユダヤ教の教えを全般的に見れば、私達は皆、人類としての共通の意識を互いに持たなければいけないとしています。

 ですから、私達は非ユダヤ人に対しても、思いやりの心を持って接しなければいけません。そのことを「自分自身を愛するように、隣人を愛しなさい」と言います。非ユダヤ人も、この隣人の一人なのです。
 ユダヤ人は、仲間のユダヤ人に施すために資金を集めます。私達は、自分達の同胞の面倒を見るという点で、何世紀もの間、際立った存在でした。その一方で、私達はまた、非ユダヤ人に対しても同様に手を差し伸べました。そのために多くのユダヤ人がいろいろな分野で博愛主義者として知られるようになりました。

 その精神は現在も受け継がれており、それはイスラエルとパレスチナが争っているという中東の状況の中でも生きています。少し信じ難いかも知れませんが、例えば、自分の死後に、臓器を誰でも困っている人に提供するということで、パレスチナ人の自爆テロによって殺されたユダヤ人から、肝臓とか腎臓といった臓器が摘出され、それが別のパレスチナ人に移植されたという話が公表されることがあります。

 このようなことが行われるのは、ユダヤ人の考えの中に、自分達の面倒を見るだけではなく、悪魔は殆どの非ユダヤ人の後ろに付いているので、そういった私達の仲間の面倒も見、あらゆる人達の窮乏を出来うる限り救う、というものがあるからです。

 

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