『1907』原著 IN KOREA WITH MARQUIS ITO(伊藤侯爵と共に朝鮮にて):日英対訳

日韓併合は避けることが出来たのか―伊藤博文初代統監の信念と、合邦前夜の朝鮮情勢が見えてくる

日韓併合條約の調印(1910年)から105年。
米国イェール大学教授ジョージ・トランブル・ラッド博士が、
1907年の合邦前の朝鮮を訪問し、当時の実情をありありと記録した第一級資料!

本邦初翻訳!

朝鮮の自力発展を願いつつ懸命に思案する伊藤博文。
その背後にせまり来る暗殺の影!
過酷なまでの状況下で、成し遂げようとしたその思いとは。

本書の原書『IN KOREA WITH MARQUIS ITO(伊藤侯爵と共に朝鮮にて)』は、
1907年に執筆され、1908年に米国で出版された。
現代の日韓関係問題の原点が、本書に示されている。

1907

  • 著者:ジョージ・トランブル・ラッド、桜の花出版編集部(編集)
  • 定価:2,270円(税別)
  • ページ数:589ページ
  • ISBN-10:4434204319
  • ISBN-13:9784434204319
  • 発売日:2015/4/11
  • サイズ:A5判 20.8x15x3.8cm
  • 発行:桜の花出版

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今日の日韓問題の原点がここにある

≪本書の編集部まえがきより≫

本書は1907 年、アメリカ人のジョージ・トランブル・ラッド博士(1842~1921年)が、日本の保護国であった朝鮮での体験をもとに綴った貴重な記録である。日本と韓国の合邦(1910年)直前の朝鮮半島の様子を、外国人の目で伝えているという点と、この時期の中心人物であった伊藤博文侯爵の言動を近くで見聞する機会に恵まれた人物の記録という点で、本書は他にはない価値ある記録といえるだろう。

著者のラッド博士は、ハーバード大学に比肩する名門イェール大学で哲学の教授を務めた人物である。また、哲学だけにとどまらず幅広い学問分野で活躍し、特に心理学ではアメリカ心理学会の第二代会長に就任しており、日本の心理学の草創期に最も貢献した人物である。

原著のタイトルにもあるように、ラッド博士は朝鮮の統監であった伊藤博文と交流があり、伊藤の要請を受けて朝鮮半島の各地を巡り、朝鮮情勢についても様々な提言を行なっている。伊藤は国際協調を重視する立場であり、朝鮮半島においても朝鮮人の自力発展を願っていたことで知られている。ラッド博士も、その思想と人柄に感銘を受け、本書でも伊藤に対する賞賛を惜しまない。

本書が著わされた当時、朝鮮半島は日韓二カ国間にとどまらず欧米を巻き込んだ情報工作や、反日報道の数々、権益を貪る外国人の活動、宮廷や政治家を巡る暗殺や謀略などにより混迷していた。

何より最も長期間にわたって伊藤と日本を苦しめたのは、日本による詐欺や暴力が行なわれたとする激しい非難だった。ラッド博士は、これについて一つの章を割き(第16章『間違い:現実のものと架空のもの』)自身の検証を記している。

アメリカ人学者が評価した日本の保護政策と朝鮮情勢

ラッド博士は本書の最後に、この数年(1907 年前後)の情勢を見れば、日本と朝鮮の関係は紛れもなく改善されており、このまま両者が歩み寄り努力すれば、近い将来、二国間の長く続いた困難な関係も解決されるだろうとの見解を述べている。それは、伊藤の尽力を身近で見聞した者の願いにも聞こえてくる。

だが本書の原書が出版された翌年の1909 年、伊藤は朝鮮人民族主義者の凶弾に倒れることとなった。事件は元国家元首の暗殺という極めて重大なテロ行為であったが、現代韓国ではそのテロリストが民族の英雄扱いされている。これは両国にとって不幸な事態である。この事件に対し日韓両国民の認識が大きく乖離している事実は、正に現在の日韓関係の歪みを象徴している。

伊藤博文初代統監暗殺から100 年以上を経た今、そして大東亜戦争(第二次世界大戦)終戦から70 周年に当たる今年、日本保護下の朝鮮をアメリカ人学者がどのように見ていたかを確認することは、日本人にとっても韓国人にとっても有意義なことである。

本書はいまこそ読まれるべき歴史の証言である。

≪最終章より ラッド博士が日本の次世代に残した期待の言葉≫

(1907年より)過去50 年間もの間、日本は多くの途方もない困難をうまく克服し、多くの非常に脅迫的な緊急事態に果敢に、そして、適切に臨んできた。この時期は、状況は繰り返し、ほとんど絶望的に思われた。しかしその度に、国民は集結し、国民生活がより高く、より良い水準になるよう上の方へよじ登ってきた。そうなのである。このことの大部分は、ここまで国民を導いてきた人々の知恵と能力に起因してきた。そして彼らは、舞台を終えつつある。その代わりに出てくる若者達の精神が、同様の勇気と知恵、成功に満ち、日々活躍することが、我々の信念であり望みである。その場合、第三の最も重要な種類の要因が確実になるだろう。そしてそれが、他の二つの要因と結びつくことで、後援者であるだけでなく保護者でもある日本の友好的関係と親善と結束の中で、新しく回復した朝鮮が実現するだろう。

目次

まえがき

第一章 招待
    出発
    伊藤侯爵との面会
    朝鮮への招待

第二章 初めて見た朝鮮
    釜山到着
    首都ソウルへ
    ソウルの地理的特徴
    建築的観点から
    二つの歴史的建築物
    不潔で卑しいソウルの街並み

第三章 ソウルでの生活
    朝鮮での特別な仕事
    朝鮮皇帝への謁見
    初めての朝鮮人への講演
    朝鮮人聴衆の態度
    日本人聴衆に対する講演
    キリスト教布教団体の思惑

第四章 ソウルでの生活(続き)
    暗殺事件
    暗殺事件の真相
    もう一つの暗殺計画と内閣の改革
    朝鮮史上初の正当な政府
    日本の政策に大きな影響をもたらした運命的出来事

第五章 平壌への訪問
    平壌
    宣教師の家庭に滞在
    街の整備
    朝鮮人学生との面談
    偽のクーデター文書
    平壌の宗教的運動

第六章 済物浦およびその他の地域
    済物浦への訪問
    日本人と朝鮮人への講演会
    朝鮮保護国化の将来
    済物浦で良好な日朝関係
    朝鮮の虎
    日清戦争の逸話
    勧業模範場と農業学校
    勧業模範場の創設式典
    朝鮮の鉄道史
    北漢山への小旅行
    英国総領事の見解
    北漢山を下山
    朝鮮の歴史を訪ねて

第七章 出発
    伊藤侯爵との別れ
    日本と朝鮮の相違

第八章 個人的な回想と印象
    朝鮮皇帝へのメッセージ
    絶望的な宮廷の腐敗
    迫害される愛国者
    朝鮮救済の可能性
    伊藤侯爵の忍耐と同情

第九章 歴史的問題
    信頼できる正史のない朝鮮
    自国の英雄を中傷する朝鮮人
    近隣国によく見られる交流と対立
    朝鮮に最大限配慮した家康
    日朝友好を阻む中国
    日朝友好に尽力する日本
    中国に従属し特権を与えられた閔一族
    中国の朝鮮派兵と忍耐の伊藤内閣
    理不尽な動乱後の日朝談判
    天津条約の締結
    朝鮮での日清戦争
    閔妃殺害事件の悪影響

第十章 歴史的問題(続き)
    ロシア公使館管理下の朝鮮国王
    朝鮮政策に関する伊藤侯爵の演説
    増大するロシアの脅威
    腐敗した朝鮮皇帝と宮廷
    朝鮮の独立性は日本の生命線
    日露戦争

第十一章 契約
    朝鮮の外交権を日本に移す意義
    朝鮮の外交権をめぐる攻防
    朝鮮の大臣と伊藤侯爵との協議
    朝鮮側の条約修正要求
    第二次日韓協約の締結
    条約協議言行録の公式出版
    条約についての考察

第十二章 統治者と国民

第十三章 資源と財政

第十四章 教育と公共司法

第十五章 外国人と外交関係

第十六章 間違い:現実のものと架空のもの
    根拠無き日本批判
    軍用地および鉄道用地の収用について
    日本人による犯罪
    外人による確証なき報道
    朝鮮の現状
    下請け業者の中間搾取の実態
    特定の外国人達による偏見と悪意に満ちた虚偽の報告
    朝鮮の習慣を知らない日本人
    ある水産業会社の例
    ある種馬飼育場の例
    パゴダ事件の真相
    偽造文書事件の顛末

第十七章 使節団と宣教師

第十八章 1907年7月そしてその後
    ハーグ密使事件
    日本政府の冷静な対応
    朝鮮側の混乱
    高宗の退位と暴動
    暴動を先導した朝鮮軍隊
    一進会
    第三次日韓協約
    軍隊組織を改編
    市民は暴動に無関心
    朝鮮人自身が抱える問題点
    伊藤侯爵の一時帰国

第十九章 問題の解決
    極東の不安定性
    朝鮮国内問題の複雑さ
    欧米の認めた日本の朝鮮保護政策
    発展に必須な宮廷の浄化
    望まれる中流階級の出現
    下層階級も見捨てない伊藤侯爵
    日本が担う重責
    次世代日本への期待

附録

編者あとがき

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